The Vyne (ザ・ヴァイン) ナショナル・トラスト
この前はThe VyneでのMark Brazier-Jones家具展のイメージを紹介したので、今回はお屋敷自体のイメージ。
The Vyneはもともとはハンプトンコート・パレスと同様のチューダー期、16世紀初頭に建造された屋敷。実際ヘンリー8世も少なくとも3度は滞在したという記録がある。
その後350年以上にわたって、Chute(シュート)家の所有となり、何世代にわたってもの改装の結果、さまざまなイギリスのインテリア様式のまさしく「標本箱」と化している。
これが本来の「正面入り口」。
レンガ造りの壁と、煙突にチューダーの名残が見える。
窓はすべてサッシュ・ウインドウなので、17世紀末か18世紀初頭に導入されたもの。
入り口によって・・・よって・・・Mark Brazier-Jonesのシャンデリアをドアのガラス越しに写す。
この段階では、綺麗なシャンデリアとは思ったが、彼の作品だと気づいてなかった・・・。
これが裏の庭園に面したウィング。
この写真は屋敷の前にある池の反対側から撮っている。
Marsh Hen(かな?)のヒナ達はランチで忙しい。
ギリシャ・ローマ神殿のような、入り口のポーチ部が典型的なネオ・クラシカル様式。
18世紀頃に、相続したお屋敷が、古いチューダーやジャコビアン期のもので「いけてない」。そこで、こういうポーチを貼り付けて「ナイス」とした、当時のトレンディーおボンボン達もさぞかしたくさんいたことだろう。
ハンプトンコート・パレスほど壮大・極端な例は少ないにしても、「ポーチ貼り付け簡易ネオクラ化」はありがちな例。
こういう場合、本来裏であった庭園側が、新しい正面玄関となる。そこへ、屋敷への入り口の門から、木立や池やFolly(フォリー、庭園の装飾としての、神殿や塔等の作り物)で自然風景を模して作られたLandscape garden(ランドスケープ・ガーデン)を横目に見せびらかされながら、訪問客の馬車が着くように、幅広く馬車道を整備する。なにごとも第一印象で「ほほーぅ・・・」といわせた者勝ち、的な発想。
古い大屋敷にはたいてい「ギャラリー」と呼ばれる部屋がある。
主に先祖の肖像画などを飾っておく。17世紀後半から18世紀にGrand tour(グランド・ツアー)と呼ばれる、ヨーロッパ大陸(主にイタリア)への、カルチャー旅行がおボンボン達の間で流行するが、その折に買ってきたイタリア製のキャビネットやら、彫刻なども飾られるのはたいていここ。
このパネルはJacobean(ジャコビアン期、17世紀初頭)?尋ねてはいないが・・・。
イタリア土産のアポロ。
この部屋にも彫像はたくさん展示。
ボイラーから給湯暖房して、ちょうど温室のように使われている。
こんな様なことが出来るようになったのは19世紀。
展示のイラストによると、20世紀初頭には、子供達の遊び部屋として使われていた様。
窓からの日差しがさんさんと注ぐ。一番居心地のいい部屋。
同じ「サンルーム」の壁にチューダー期のラウンドル(円形装飾レリーフ)。
羊頭をしょっているので、黄金羊毛を求めたIason(イアソン)かな?
見た瞬間・・・どこかでみたような・・・。それもそのはず、ほんの数日前のチューダー・コスチューム・イベントで訪れたハンプトン・コート・パレスで撮ったハドリアヌス帝のラウンドルにそっくり。
尋ねてみたら、もともとは、まさしくハンプトンコート・パレスにあったものを、パレス改造の折に貰い受けたもの、と、思われていたらしい。近年になってから、テラコッタ表面の化学組成を検査した結果、ここのラウンドルは風雨にさらされたものではないことが判明。ハンプトンコート・パレスのものはすべて外壁に取り付けられている、あるいは、取り付けられていたはず。ゆえに・・・これはパレスのものと同一の彫刻家(Giovanni da Majano,ジョヴァンニ・ダ・マジャーノ)か、その工房で製作されたものだが、直接パレスから貰い受けたものではない、という結論に達したそうな・・・。
ところで、この彫刻家はイタリア人。当時のイタリア・ルネッサンスの彫刻家の表現力と、イギリスの彫刻を比べると・・・ちょっと気の毒になるぐらいの技術の差・・・。
家具職人の技術と、イタリア・ルネッサンスのマスターの作を比較しては、気の毒の上塗りだが・・・多かれ少なかれこんな感じ。素朴で可愛い・・・ともいえる。
私は彫刻というより、なぜかレリーフ好き。ついつい撮ってしまう。
ダイニングルームのアポロのミラー。
あまりにもクールなネオ・クラぶりに、これもMark Brazier-Jonesの作品かと思ったら18世紀のものだった。
これはレリーフではなくて彫刻だが・・・チャペル内ののエフィジー(墓碑)
Chaloner Chute(チャロナー・シュート)。
17世紀半ばに彼がこの屋敷を購入して以来、ここは350年近くシュート家の屋敷となる。
ちょうど、きれいに自然光が窓から入ってきた。アラバスター石が輝く・・・。
最後にチャペル内の床に使われているタイルのコラージュ。
これは16世紀初頭のもの。この頃のタイルが現存している珍しい例。
本来は壁に使われていたらしいが、チャペルを改装したときに床材として使用されたとか。
チューダー・ローズも描かれている。
明日は庭園の紹介なので・・・余談は減らして、イメージでサクサクいきます。(と、自分にい聞かせているのやら?)
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