Thursday, 5 August 2010

ポストモダンとMark Brazier-Jones (マーク・ブレイジァ・ジョーンズ)家具展-2- 

引き続き、ナショナル・トラスト、ザ・ヴァインよりマーク・ブレイジァ・ジョーンズの家具展。

昨日一言、ポストモダンと書いたが、これに関連して80年代後半のデザインの背景を始めに要約してみたい。
(あー、デザイン専門系話なので・・・興味ない方はスルーして、即ヴィジュアルに行ってください・・・笑)。

ポストモダン(モダンの後、モダンの次に来るもの、という語感)という言葉には、文学・哲学・思想のムーヴメントも含まれているが、私は専門外。デザインと建築・インテリアに関してのみ・・・。
WiKiで参照したかったのだが・・・あまり詳しくは書かれていないので。

簡単に言えば、1920年代にさかのぼるモダニズムのご本尊バウハウス以降、機能性のみで構築されるようになったデザインへの反動として、80年代中心に起きた、「不必要な遊び」や「装飾性」や「有機的曲線」を取り込んだデザインのムーヴメント。  
ポストモダンの言葉で、まず代表されるのは、イタリアのインダストリアル・デザイナー、Ettore Sottsass (エットーレ・ソットサス)が、80年代に起こしたMemphis(メンフィス)グループで、ポップでキッチュな「遊び」をデザインに持ち込んだもの。 
そしてAlessiのデザイナーで知られる、フランスのPhilippe Starck (フィリップ・スタルク)も同系列。 
彼らの陽気で無邪気な「遊び」のデザインは、80年代バブル期の日本でも大歓迎された。
彼らイタリア系ポストモダンが「陽」だとしたら、当時現在以上に深刻な不況・失業・産業構造崩壊を抱えていたイギリスでのムーヴメントは、もっと暗い「陰」の遊びの要素。現実の「モダニズム社会」の行き詰まりを、古典主義的装飾、バロック的装飾、ゴシック的装飾の幻想を持ち込むことによって、忘れ去ろうとしていたかのように見える。  

(* ここで言うイギリスでのムーヴメントは、80年代日本では「ネオ・クラシック」略して「ネオ・クラ」と表現され直接「ポストモダン」と括られることはなかった。しかし、英語での「Neo-Classic」は、18世紀のギリシャ・ローマスタイル・リヴァイヴァルをさしていて、20世紀末のムーヴメントに関して使用する記述はまだ現れていない。本質的に「ポストモダン」の概念と同一のムーヴメントと、私は捉えているので、「ポストモダン」の用語で括ることにする。)   

インテリアデザイナー・Nigel Coates (ナイジェル・コーツ)、ファニチャーデザイナー・Tom Dixon (トム・ディクソン)、ファニチャー・デザイナー・André Dubreuil(アンドレ・デュブルエリ)、インテリア・テキスタイルデザイナー・Sue Timney(スー・ティムニー 当時はティムニー&ファウラーとして活動)、アーティスト・Andrew Logan(アンドリュー・ローガン)、そして、Mark Brazier-Jones (マーク・ブレイジァ・ジョーンズ)がこのイギリス・ムーヴメント代表。 
(ナイジェル・コーツとトム・ディクソンは、90年代末以降ももポスト・ポスト・モダンであるミニマルなスタイルにも進展して行ったため、Googleイメージに現れる画像は彼らの80年代の作風をほとんど反映してはいない・・・。)
彼らに特徴的なのは、サルヴェージ・デザイン。つまり「廃品」からデコラティヴなデザインを作り上げる、という傾向。(なんだかRevampはその末裔なのだか・・・?)そして、舞台装置のような歴史的様式あるいは、近未来的様式を、日常空間に持ち込むシュールレアリスティクな手法。  
古着や中古ステージ衣装を継ぎはぎして、装ったニューロマンティックスや(オリジナル)ゴスの音楽ムーヴメント、パンク以降のファッションと音楽の両帝国に君臨したDame Vivienne Westwood (デーム・ヴィヴィアン・ウェストウッド)の存在とともに、音楽とデザインとファッションが三位一体と化したかのような、うたかたの時代・・・。 
フランスでは、ファニチャー・デザイナーズ・デュオ Garouste Bonetti(ガルースト・ボネッティ)が、不幸にして2009年消滅する伝説のクチュリエ、クリスチャン・ラクロワとのコラボレーションで活躍。  
また、50年代から活動するイタリアのファニチャー・インダストリアル・デザイナー Piero Fornasetti (ピエロ・フォルナセティ)の、80年代以降の世界的再評価もこのポストモダンのムーヴメントに組み込めるだろう。 
しかし、所詮ムーヴメントは、振り子のように行きつ戻りつするもの。90年代後半からポストモダンの過剰な「遊び」や「装飾」は食傷されはじめ、メレニアム(2000年)新世紀のミニマリズム(最小主義)へ、つまりポスト・ポスト・モダン(モダンの次の、また次)へとトレンドは移行していく。
それとて・・・昨日も書いたように、また再・再度「装飾主義」へとゆり戻しつつある、今年2010年・・・。

以上。少しは日本語文章能力が回復しただろうか・・・だめ(笑)? 

Mark Brazier-Jones in The Vyne
SERA TABLE LANTERN(セラ・テーブル・ランタン)
このスタンドライトはアール・ヌーヴォーといってもいいぐらい。

Mark Brazier-Jones in The Vyne
SERA TABLE LANTERN(セラ・テーブル・ランタン)デティール
DRAGON TABLE (ドラゴン・テーブル)
MIRRORBALL CHANDELIER TALL VERSION(ミラーボール・シャンデリアー・トール・ヴァージョン)デティール

Mark Brazier-Jones in The Vyne
このようにディスプレイされているが・・・
最初DRAGON TABLEを18世紀シノワズリーのスタンドだと見間違えた・・・。

Mark Brazier-Jones in The Vyne
FISH CABINETとテーブル。左右に並ぶのは18世紀の「Cabinet of Curiosity

Mark Brazier-Jones in The Vyne
LIBERTINE TABLE LIGHT(リヴァーティン・テーブルライト)とTIME PIECE

Mark Brazier-Jones in The Vyne
TIME PIECE (時計)

Mark Brazier-Jones in The Vyne
TING LANTERNS(ティン・ランタン)

Mark Brazier-Jones in The Vyne
TING LANTERNS(ティン・ランタン)デティール

Mark Brazier-Jones in The Vyne
デスク。牛腹子毛皮張りデスクトップと、スワロフスキーラインストーン張りの脚。

Mark Brazier-Jones in The Vyne
OLYMPIA (オリンピア)聖母子画にならんで・・・。

Mark Brazier-Jones in The Vyne
スタンド・ランタン。チャペルへの入り口。

Mark Brazier-Jones in The Vyne
燭台とBOWDEN CONSOLE(ボドウィン・コンソール)
これもチャペルの入り口の部屋。とてもゴシック。

Mark Brazier-Jones in The Vyne
クローズアップ・・・嗚呼、ゴシック。



また今日も時間かけすぎてしまったので・・・明日はブログの休日。仕事、仕事(笑)。
あさっては、The Vine・お屋敷の方のイメージをいろいろ予定中。

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