ポストモダンとMark Brazier-Jones (マーク・ブレイジァ・ジョーンズ)家具展-2-
引き続き、ナショナル・トラスト、ザ・ヴァインよりマーク・ブレイジァ・ジョーンズの家具展。
昨日一言、ポストモダンと書いたが、これに関連して80年代後半のデザインの背景を始めに要約してみたい。
(あー、デザイン専門系話なので・・・興味ない方はスルーして、即ヴィジュアルに行ってください・・・笑)。
ポストモダン(モダンの後、モダンの次に来るもの、という語感)という言葉には、文学・哲学・思想のムーヴメントも含まれているが、私は専門外。デザインと建築・インテリアに関してのみ・・・。
WiKiで参照したかったのだが・・・あまり詳しくは書かれていないので。
簡単に言えば、1920年代にさかのぼるモダニズムのご本尊バウハウス以降、機能性のみで構築されるようになったデザインへの反動として、80年代中心に起きた、「不必要な遊び」や「装飾性」や「有機的曲線」を取り込んだデザインのムーヴメント。
ポストモダンの言葉で、まず代表されるのは、イタリアのインダストリアル・デザイナー、Ettore Sottsass (エットーレ・ソットサス)が、80年代に起こしたMemphis(メンフィス)グループで、ポップでキッチュな「遊び」をデザインに持ち込んだもの。
そしてAlessiのデザイナーで知られる、フランスのPhilippe Starck (フィリップ・スタルク)も同系列。
彼らの陽気で無邪気な「遊び」のデザインは、80年代バブル期の日本でも大歓迎された。
彼らイタリア系ポストモダンが「陽」だとしたら、当時現在以上に深刻な不況・失業・産業構造崩壊を抱えていたイギリスでのムーヴメントは、もっと暗い「陰」の遊びの要素。現実の「モダニズム社会」の行き詰まりを、古典主義的装飾、バロック的装飾、ゴシック的装飾の幻想を持ち込むことによって、忘れ去ろうとしていたかのように見える。
(* ここで言うイギリスでのムーヴメントは、80年代日本では「ネオ・クラシック」略して「ネオ・クラ」と表現され直接「ポストモダン」と括られることはなかった。しかし、英語での「Neo-Classic」は、18世紀のギリシャ・ローマスタイル・リヴァイヴァルをさしていて、20世紀末のムーヴメントに関して使用する記述はまだ現れていない。本質的に「ポストモダン」の概念と同一のムーヴメントと、私は捉えているので、「ポストモダン」の用語で括ることにする。)
インテリアデザイナー・Nigel Coates (ナイジェル・コーツ)、ファニチャーデザイナー・Tom Dixon (トム・ディクソン)、ファニチャー・デザイナー・André Dubreuil(アンドレ・デュブルエリ)、インテリア・テキスタイルデザイナー・Sue Timney(スー・ティムニー 当時はティムニー&ファウラーとして活動)、アーティスト・Andrew Logan(アンドリュー・ローガン)、そして、Mark Brazier-Jones (マーク・ブレイジァ・ジョーンズ)がこのイギリス・ムーヴメント代表。
(ナイジェル・コーツとトム・ディクソンは、90年代末以降ももポスト・ポスト・モダンであるミニマルなスタイルにも進展して行ったため、Googleイメージに現れる画像は彼らの80年代の作風をほとんど反映してはいない・・・。)
彼らに特徴的なのは、サルヴェージ・デザイン。つまり「廃品」からデコラティヴなデザインを作り上げる、という傾向。(なんだかRevampはその末裔なのだか・・・?)そして、舞台装置のような歴史的様式あるいは、近未来的様式を、日常空間に持ち込むシュールレアリスティクな手法。
古着や中古ステージ衣装を継ぎはぎして、装ったニューロマンティックスや(オリジナル)ゴスの音楽ムーヴメント、パンク以降のファッションと音楽の両帝国に君臨したDame Vivienne Westwood (デーム・ヴィヴィアン・ウェストウッド)の存在とともに、音楽とデザインとファッションが三位一体と化したかのような、うたかたの時代・・・。
フランスでは、ファニチャー・デザイナーズ・デュオ Garouste Bonetti(ガルースト・ボネッティ)が、不幸にして2009年消滅する伝説のクチュリエ、クリスチャン・ラクロワとのコラボレーションで活躍。
また、50年代から活動するイタリアのファニチャー・インダストリアル・デザイナー Piero Fornasetti (ピエロ・フォルナセティ)の、80年代以降の世界的再評価もこのポストモダンのムーヴメントに組み込めるだろう。
しかし、所詮ムーヴメントは、振り子のように行きつ戻りつするもの。90年代後半からポストモダンの過剰な「遊び」や「装飾」は食傷されはじめ、メレニアム(2000年)新世紀のミニマリズム(最小主義)へ、つまりポスト・ポスト・モダン(モダンの次の、また次)へとトレンドは移行していく。
それとて・・・昨日も書いたように、また再・再度「装飾主義」へとゆり戻しつつある、今年2010年・・・。
以上。少しは日本語文章能力が回復しただろうか・・・だめ(笑)?
SERA TABLE LANTERN(セラ・テーブル・ランタン)
このスタンドライトはアール・ヌーヴォーといってもいいぐらい。
SERA TABLE LANTERN(セラ・テーブル・ランタン)デティール
DRAGON TABLE (ドラゴン・テーブル)
MIRRORBALL CHANDELIER TALL VERSION(ミラーボール・シャンデリアー・トール・ヴァージョン)デティール
このようにディスプレイされているが・・・
最初DRAGON TABLEを18世紀シノワズリーのスタンドだと見間違えた・・・。
FISH CABINETとテーブル。左右に並ぶのは18世紀の「Cabinet of Curiosity」
LIBERTINE TABLE LIGHT(リヴァーティン・テーブルライト)とTIME PIECE
TIME PIECE (時計)
TING LANTERNS(ティン・ランタン)
TING LANTERNS(ティン・ランタン)デティール
デスク。牛腹子毛皮張りデスクトップと、スワロフスキーラインストーン張りの脚。
OLYMPIA (オリンピア)聖母子画にならんで・・・。
スタンド・ランタン。チャペルへの入り口。
燭台とBOWDEN CONSOLE(ボドウィン・コンソール)
これもチャペルの入り口の部屋。とてもゴシック。
クローズアップ・・・嗚呼、ゴシック。
また今日も時間かけすぎてしまったので・・・明日はブログの休日。仕事、仕事(笑)。
あさっては、The Vine・お屋敷の方のイメージをいろいろ予定中。
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