Wednesday 28 July 2010

ヘンリー8世のハネムーン - チューダー・コスチューム・イベント -2-

ハンプトンコート・パレスのチューダー・コスチューム・イベントの続編。

午後12時半ごろに、ヘンリー8世、ジェーン・シーモア王妃をはじめとして、随員一行はPrivy Garden(王室庭園)を抜けて、Thames(テムズ)川船着場へ向かう。London中心部のWhitehall Palace(ホワイトホール・パレス)から、ボートで到着するフランス大使と神聖ローマ帝国(ドイツ)大使を出迎えるのだ。

Ambassadors arrive at the Palace
総勢10隻(ぐらい・・・)のボートが、次々に到着。
赤い帽子を振って、観客に答えているのが、神聖ローマ帝国大使。
当時同盟国であったハンガリーの兵士を伴っている。
左下のイメージで手を振っているのが、フランス大使。
こちらも、当時の同盟国オスマン・トルコの兵士を伴っている。

昨年の、ヘンリー8世即位500周年記念のイベントでは、ヘンリー8世、キャサリン・オブ・アラゴン王妃と側近を乗せた総勢30隻近くのボートが、Tower of London(ロンドン塔)を午前中に出発。30km以上ある全行程をボートで漕ぎあがってきた。その時は引き潮と重なって、ボート・クルー大苦戦。3時半到着予定が一時間ずれ込んで、4時半に到着。5時間半漕ぎ続けたクルーはもちろん、フルコスチュームの俳優・女優達も、土手で待ちぼうけの観衆も、その観衆を退屈させないように即興で演奏を続けたミュージシャン、道化師も、一同・・・ヘトヘト(笑)。
今回は・・・本当にホワイト・ホールから漕ぎあがってきたのではなくて・・・、そういう設定なだけで、実は隣町のKingston(キングストン)あたりから出発したのではないかな、と疑っている。
いずれにしても、ボートの到着は見ていて本当に楽しい。
上のイメージの上段右と中段左のボートは、例のリドリー・スコット監督の「ロビン・フッド」で、最後の海上戦闘シーンで使われたものだそうだ。そういえば・・・こんな風だったな・・・。

Ambassadors
大使一行の到着。
左がフランス大使、右が神聖ローマ帝国大使。
ブルー系のシェードはフランスチームでセピア系のシェードは神聖ローマ帝国チーム。
お互いに反目しているという設定で、兵士達の小競り合いが、こののち繰り広げられる。

King is dining
パレス内のチューダー・キッチンで実際に調理された料理が王に供される。

両大使が給仕を勤めつつ、外交交渉の駆け引きの場、という設定なので、王妃は隣のEast Garden(東庭園)で鷹狩りを観覧。
実際には、パフォーマンスを分散して、観客が集中しすぎないようにという配慮。これも、昨年の一箇所集中大混雑からの改善策と見た。
供されている食事はチキンの丸焼き、左上これでは「揚げ餃子」に見えるが・・・「揚げラビオリ」でチューダー時代のトレンディーな料理。中身はスパイス、ドライ・フルーツ、ナッツ類。

Demonstration of arms
土手に着くや否や、小競り合いを繰り返していた兵士達は、王の食事の余興に模擬試合を命じられる。


右上がオスマン・トルコ兵士、左上と下がハンガリー兵士で、ヴァルカンの仇敵同士。なのだが・・・実は、どちらもハンガリー人のRe-enactors。リ・エンアクター、日本語だとどういえばいいのか?歴史物のコスプレのイベントに参加する人達、あくまでも趣味で・・・完全にプロの俳優ではない。こういう人達がヨーロッパには、かなりいる。趣味といっても武術のトレーニングはできているので、映画撮影のエキストラ等にはよく採用されているらしい。
ハンガリーとトルコの当時のコスチュームは、大雑把に言うと・・・大差がない。どちらも、ビザンティン時代のTunic(チュニック ― 長袖の長いローブ)の末裔。ハンガリーチームは、その上にDalmatica(ダルマティカ - 袖口の広い丈長の上着)の末裔を着ている。帽子は全く違う。
ビザンティンを魂の故郷と感じている(笑)私としては、このハンガリアン・チームのコスチュームがとても好きなのだ。昨年も彼らは来ていたが、その時あまりにカッコよかったので・・・自分で似たような部屋着を縫ってしまったぐらいだ。

Demonstration of arms
模擬試合、といっても迫力満点。
ちなみに、後ろにピンクや水色のタンクトップを着たような観客が大勢。
これをモーション・ブラーでぼかしたレイヤーを重ねる。
一枚一枚の写真をそのように処理して、それをまたコラージュのレイアウトに構成する。
とても時間のかかるポストプロセス・・・。

Demonstration of arms

Demonstration of arms

結果は一勝一敗。この後フランス兵と神聖ローマ帝国兵の模擬試合があるが、これも一勝一敗のあげく、乱闘状態になったところに、王の護衛兵が割って入り(後ろで仁王立ちになっている、例の、去年の王様。)両者をなぎ倒して「イギリス万歳」・・・というお気楽な結末。お祭り、お祭り。

まだ、いくつかハンプトンコート・パレス内のイメージが残っているので。後日「ハンプトンコート・パレス」という箱タイトルでまとめてみる予定。お楽しみに・・・。

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