Spitalfields Gardens Groups Open Garden (スピタルフィールズ・ガーデンズ・グループ・庭公開日)-1-
土曜日の深夜12時に、時計を一時間進めて、もう夏時間は終わり。これからは、どんより暗い冬時間に突入。
ロンドンは大して寒いわけではないけれど、とにかく暗いのが難儀。近頃はPCの前に座っていることが多いので、暗いのにもあまり影響されなくなったけれど、以前は眠くて眠くて・・・冬眠する動物の気分がよくわかった。
一方、標本箱の方はは再び、6月のロンドン。なんだか今年は、けっこう天気のいい夏日和が多くて、花粉症にもめげず、あちこちでかけていたんだな・・・、ということに、写真を見ていて気づくのだった。
今回は、National Garden Scheme(ナショナル・ガーデン・スキーム)で公開されていた、スピタルフィールド界隈の個人宅の庭のイメージを。
この、ナショナル・ガーデンスキームというのは、1927年に設立されたチャリティー団体で、「イングランド、ウェールズの、優れた、個性豊かな、興味深い庭をチャリティーのために一般公開すること」を目的として設立されたもの。
主に個人邸宅の庭を、年に一度、入場料を取って公開する。そして、この入場料や、庭園内でサーヴされるお茶やケーキ・ビスケットなどの売上がすべて、チャリティーに寄付されるシステム。
ここの公開基準に達しているかという審査もちゃんとあって、これに合格してはじめて参加できる、ということは、つまり、そこのオーナーやガーデナーにとっても、「素晴らしいお庭」オスミツキのステータスなので、例年たくさんの応募があるのだとか。
主に夏が中心の公開だけれど、春から秋にかけて、その庭の植生のベストシーズンに公開されるように、スケジュールが組まれている。 公開スケジュールは、 "The Yellow Book"=「黄色い本」と呼ばれる、このチャリティーのテーマ・カラーの、黄色で彩られたガイドブックが毎年発行されている。<2016年版(2月発行)の先行購入予約はこのページ>
この「黄色い本」の売上収益も、もちろんチャリティーに回されるので、毎年購入しているガーデン愛好家も多い。 しかしまぁ、今時のこととて、Netでも検索できるようになっている<このページ>。
ウチは、納品に行った取引先Town House(タウン・ハウス)で、ここの無料のロンドン版ブックレットを入手して、この大都会まっただ中、スピタルフィールズ界隈でも、何件かの家がグループを組んで、庭公開をしていることを発見。「大都会の町家の裏庭」というものに興味津々で訪れてみた。
Town House(タウン・ハウス)のお店のあるFounier Street(フォーニエー・ストリート)には、
18世紀に建てられた、地階も入れると5階建ての「町家」が連なっている。
19世紀後半から次第に荒廃した地区になっていたのだが、
20世紀末からの町並み保存再開発で、
すっかりトレンドの最先端の地区になった。
「町家」は棟続きに建っているので、裏の「お庭」を拝見するのには、
玄関から、一階の廊下を通って入っていく。
その時に盗み見する、部屋の中の様子・・・等というのも、
インテリア好きには興味津々。
庭を公開している家の入口には、トレードマークの黄色いポスターが。
何しろ、どこも狭い中庭なので、一度にたくさんのヴィジターは入れない。
混んでいる時間帯は、入場制限になるので、入口で列ができることもある。
それぞれが、単独で公開できるサイズの庭ではないので、
グループ公開の形になっている。
最初に入場したお庭で共通入場料£12を払うと、チケット半券がもらえる。
その後訪れるこのグループの庭では、このチケット半券を見せて入る。
これはTown Houseの、ちょうどお隣にあたる家の庭。
この家は通りの北側に建っているので、
高い家の北側にあたる裏庭は、日照時間が限られている。
そのデメリットを、どうやってメリットに転換するかが、ガーデナーの力量。
花はあじさいとホスタが中心で、
白とグリーンにカラーを統一している。
この通りの庭は、住空間の延長として作られているので、
建造の当初から、レンガ敷になっている。
この一角は、庭の一番奥に当たる部分で、
かろうじて安定して日がさすのだそう。
日陰でも強いペラルゴニウムが、色彩を添えている。
レンガ壁で囲まれていて、冬も霜が降りることは殆ど無い、
ロンドンのど真ん中なので、ファーン(シダ類)には最適。
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同じ通りの次のお庭。
ここは鬱蒼とした木々がないので、もう少し明るい雰囲気。
ここでも日陰に強いシダやアイビーが多用されている。
白いsnapdragon(スナップドラゴン=
金魚草・・・だったかな?)の鉢が乗っているのは、
19世紀の鋳物のオーヴン。
もしかすると、この家にその昔設置されていたものかも。
レンガ敷、石敷きの庭なので、鉢植えが主力。
鉢植えだと、日当たりのある庭の奥に、
ローテーションで配置換えすることもできる。
なので、育てられる植物の幅が広がる。
と言っても・・・この鉢達は重いよねぇ・・・。
ルーピン、ジギタリス、デルフィニウムの、
穂型に立ち上がる花で、高さを出している。
白いアルペン・ダイアンサス・・・かな?
バラはイギリスでは原産種なので、多少日陰でも、元気によく育つ。
日本では育てにくいのにね。
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3番目のお庭。
ここはその昔に庭の奥に倉庫が建てられていた。
そのレンガ壁を、庭を奥と手前に区切る、アーチとして残し、
そこにグレープを這わせている。
ゲートをつけて、廃墟風の雰囲気。
Dianthus(ダイアンサス)類が、意外と日陰に強いのを初めて知った。
匍匐性の紫の花は、一般的にBellflower(ベルフラワー)と呼ばれる、
Campanula(カンパニュラ)、桔梗と親戚。
日向だと、こんもり一面に紫の花を付けるけれど、ここは日陰。
蔓のように伸びて、まばらに花をつけている・・・のも、
これはこれで、なかなか風情がある。
この「廃墟壁」が、庭に高さを出すのにとても有利。
庭の奥のエリア。笹や竹も日陰に適している。
(だいたい、XX Japonicaといった日本原産種の植物は、
湿気た日陰でもよく育つ。つまり、日本風の庭は日陰に向いている・・・。)
しかし、笹・竹の類は、地植えにするとどんどん侵略してくるので要注意。
ここのように、鉢植えが賢明かも。
小さな池と流水。
暗いコーナーにミラーを置いて、少しでも採光。
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一方こちらは、Town Houseのカフェ部。
それぞれの庭でも、お茶やケーキをサーヴしているところもあるけれど、
小さい庭ばかりなので、お茶を出すスペースがないところが大半。
その代わりに、同じ通りのTown Houseが、
グループの総合カフェということになっている。
オーナーのフィオナさん大忙し。
ここのお茶+ケーキの収益も、庭グループの収益とともに、チャリティーへ。
私達もここでちょっと休憩して、その後の後半の部へ。
次回に続きますよ。
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