Margate(マーゲート)の町
マーゲートの話の続きで、今回は町のイメージ。
マーゲートは港町で・・・なのだけれど、その砂浜がリゾートに最適というので、18-19世紀にファッショナブルなホリデー滞在地として、人気があった。
町並みも、Old Town(旧市街)の方には、ジョージアン期のリゾート地らしい、バルコニーの付いた家、などが残っていて、なかなか風情がある。
しかし・・・それは比較的小さなエリアでしかないのだった。
20世紀後半、特に70年代以降は、イギリスの(特にロンドンからの)ホリデーは、海外・地中海沿岸というのが定番になってきて、イギリス各地の海岸保養地はどんどん寂れていってしまう。
それに輪をかけたのが、ロンドン自治区の福利・厚生システムで、生活保護を受けている人達、それも、ドラッグ中毒などが原因で、あてがわれた公共住宅で、治安上などの問題を起こしてしまうトラブルメーカーを、「海岸の保養地が精神衛生上もよろしいでしょう・・・。」のような適当な判断で、ロンドン近郊の旧海岸リゾート地に送り込んでしまった。
保養地のホテル・オーナー側は、少なくともロンドン自治区が家賃を払ってくれる、というので、この案に乗ってしまい、かくして・・・、イギリス海岸旧保養地は、治安の悪いスラムと化してしまった・・・、というのが90年代までの話。
(詳しく調べてはいないけれど)、現在は、もうこの「送り込み提携」はさすがに行われてはいないはず。
ひとたび荒んでしまった町を、再び「町興し」するのは簡単なことではないのだけれど、ロンドンの治安最悪エリアだった、東ロンドンの「ルネッサンス」大成功に刺激を受けて、現在はこのような旧海岸リゾート地が、「ルネッサンス」計画を行政・民間の両サイドから推し進めている。
マーゲートも例外ではなくて、旧市街を出ると建物も荒んでくるし、放置されている土地も目に付く。
しかし、「ルネッサンス」企画の一環で、ターナー・コンテンポラリー美術館が、2011年4月にオープン。 (あ、いや、古物好き「コンテ」嫌いの配偶者氏と私は、結局ここには行かなかったけど。「ターナー」の展示があると思いこんでいたら、それはとっくに終わっていたのだった・・・。)
先日紹介したFontaine Antiques、B&B The Reading Roomsや、ヴィンテージ・ショップ、カフェ、ティールームなど、徐々に個性的な店が集まり始めたところ。
これはまだ企画段階のようだけれど、「Dreamland」再開発計画というのもある。
20世紀初頭にオープンしたアールデコ・スタイルのリゾート遊園地「Dreamland」が、その後の火事等で閉鎖となったまま放置されているのを、再興させようというもの。
こんな風に・・・、ちょうど90年代後半の東ロンドン・ショーディッチあたりのような、エネルギーが集まりつつある町。
前置きはこれぐらいで、イメージいきます(もちろん美意識優先主義古物好きの私は、旧市街しか撮らないけど。廃墟写真は今回はナシ・・・笑)。
ビーチから上がってきたところの時計塔。
その先の海岸沿いの道。
左にちょこっと覗いている、ガラス張りの建物が、
ターナー・コンテンポラリー美術館(ソ無視・・・笑)。
ビーチと崖の両方にまたがる町は、坂が多い。
崖側の海岸から戻ってきて、町を眺めたところ。
このあたりはチョークの崖の上に街が建っている。
チョークはやわらかすぎて、建材にはならないのだけれど、
たいていチョークと同じ層から取れるフリント石が建材になる。
ファサードの先のカーブした装飾はDutch Gable(ダッチ・ゲイブル)と呼ばれ、
オランダからの影響。17世紀頃の建築みたいだけど、ウラは取ってない(笑)。
その向かいは、ヴィンテージ・ショップ
その他にも、ヴィンテージ・ショップが、いろいろできてきている。
自分的にはヴィンテージよりは、アンティーク屋かな。
そのアンティーク・ショップ「Paraphernalia」の正面。
マーゲートでは、ちょっと有名なScott's Furniture Mart。
これは旧市街から少し離れた、住宅地のど真ん中にある。
アンティーク+セコハン家具が中心で、
その他家具用のパーツなどがごちゃごちゃ揃っているという話。
行って見たら、その日は水曜日で定休日(日・水・祝日が休み)。
悔しいのでウィンドウを覗き込んで撮影。
旧市街に戻って、中心のマーケット広場にある、カフェ。
着いた日に、ランチを食べるべくさまよっていた。
甘い粉物は苦手なので、ケーキはパスして、お隣の・・・、
Greedy Cowで遅いランチ・・・、
のつもりが、盛りがよすぎて、結果的にディナーということになってしまった。
そののどかな、マーケット広場。
その一角にある、ジュエリーショップの店構えがとてもヴィクトリアン。
右上に見える3つの金の球は、「質屋」の標識。
今でも、ジュエリーショップ兼質屋。
同じ一角にあるパブ「The Life Boat」。
ディナーはここがいいわよ、と、B&Bのオーナーのおススメで行ってみた。
しかし、配偶者氏も私も全くお腹がすかず、飲み物だけ。
配偶者氏は、いろいろ扱っている地元のエールの中から、選んでいた。
旧市街からB&Bに向かっていく途中の、「The Mad Hatter Tea Rooms」。
ヴィンテージでコテコテのティールームという評判だったので、
興味津々だったのだけれど、オープンは週末だけだそう。
また悔しいので、夜に覗き写真。
旧市街の昔の新聞社の建物。
Thanetというのは、このMargateや隣町Ramsgateの一帯の地区の呼称。
現在は半島として突き出しているこの地域は、歴史的には島だった。
今でも「Isle of Thanet (サネット島)」と呼ばれる呼称は、それに由来している。
本土にくっついたのは、この500年以内の話だそう。
B&Bのある、Hawley Square(ハウレー・スクエア)の角にある、
「Theatre Royal」
ロンドン、Drury Lane(デュルリー・レーン)のTheatre Royalに次いで、
2番目に古いシアターで1787年のオープン。
チャペルやシネマとして使われていた時期もあるが、現在は劇場に復活。
これも旧市街のはずれの住宅地に建つ、チューダー期の農家「Tudor House」。
1525年頃に、この地域の豪農の屋敷として建造されたもの。
現在は、マーゲート博物館の一部で、イベント時以外は内部の公開はされていない。
最後はマーゲートの駅前。
次回は、マーゲートから最終回で、不思議な・・・今も謎の・・・グロットー。
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