Parisの中の北アフリカ-LA MOSQUEE
パリの話なんだけれど、写真だけ見ていたら、パリだとはきっと思わない。
アルジェリアかチュニジアに飛んでいったような気分になる、そんな、不思議なカフェ・レストランを偶然発見した。
その名もLa Mosquee(ラ・モスケ = モスク)、名前の通り実際にこのカフェ・レストランの裏には、フランスでも最大級のモスクがあるのだ・・・ということは、後でネットで調べてみて始めて分かったこと。
フランスはアルジェリア・チュニジア等、北アフリカ地域を植民地に持っていたので、この地域とは縁が深い。
第一次世界大戦中に、フランス帝国の名の元にドイツ軍と戦って戦死した、10万人以上の北アフリカ・ムスリム軽歩兵を追悼して、1926年に時の大統領Gaston Doumergue(ガストン・ドゥメルグ)によって設立されたもの。
第二次世界大戦中は、ナチス・ドイツ軍占領下のパリで、ユダヤ人がホロコーストから逃れるための、秘匿避難所としても機能していたとか。そして、偽造ムスリム証明書を発行しては、ユダヤ人がムスリムを装って、海外脱出するための援助をしていたらしい。
その後の政治的展開から、現在に至るまで、ムスリムVSユダヤ抗争のイメージしか持たない中で、印象的な歴史エピソードともいえる。
カフェ部の内装は、ここはもうパリではない・・・。
最初、偶然通りかかって見かけた入り口。
ぱっと見、高級中華料理レストラン・・・と思い込んでいた。(この門の屋根の感じ!!)
高級そうなので、まず表のメニューをチェック。
そうしたら、Tajine(タジン)の表記があったので、北アフリカ料理と判明。
この時はランチを食べた後だったので、カフェに入ることにした。
気持ちのいい中庭もカフェ部だったので、ここの一角に席をとる。
通り雨が来ても大丈夫なように、この屋根付きの椅子に座る。
ここの天井はこんな風。
北アフリカの様式はどことなくビザンティン様式と繋がっていて、
私としては、とても和んでしまう。
建物の入り口のところに、北アフリカ式ケーキ類のケースがある。
ここでお菓子を選んで買って、席に着いたら、
いやおうなくデフォルトのミントティーがサーヴされる。
これが、はんなり甘くて、適温でとても美味しい。
ケーキも甘すぎず、どことなく素朴で懐かしい味、なかなかいける。
ここに、Hammam(ハマム)のサインが出ているように、ここのお菓子ケースの左側が、
ハマム(蒸し風呂)への入り口。
月・水・木・土 10AM~9PMと、金 2PM~9PM が女性専用。
火 2PM~9PM と、日 10AM~9PMが男性専用。
お菓子とお茶+石鹸+タオル・ローブ貸+30分マッサージ込みで48ユーロ(£38)。
今度パリに来るときは、ハマム用に水着持参を決意^^。
英語はほとんど通じないらしいとか、マッサージ師女性にティップを渡すこと、とか、
このハマムに入ってみた女性の、詳細なレポートは、英文だけど<このページ>。
カフェに座って、お菓子を少し砕いて、スズメ達におすそ分け。(手は同行のDanaさんの手)
イスタンブールでもそうだったが、動物に対するムスリムの感覚は少しだけ、
仏教徒に似ているところがあるのかもしれない。
「施し」の感覚があって、野良犬や野良猫が、「地域犬」や「地域猫」として、
だれかれともなく餌をもらって、可愛がられて機嫌よく共存している。
(レクチャーに行く時間なのにローブの袖の上に愛猫が寝ていたので、
起こすのがいたたまれず、袖を鋏で切って着て行った・・・という逸話あり。)
猫はとりわけ、いい待遇を受けている。
ここでも、残り物にありつきに来るスズメ達は、追っ払われることもない。
テラスのタイル。
で、ここのカフェが気に入ってしまったので、
また近くのムフタール市場に来たついでに、今度はランチに来てみた。
この奥がレストラン部。
ここもエキゾティック、
な、インテリア。
天井がいちいち派手。
照明も・・・。
出てきたラム・タジン・・・これが、肉がとろけるようで、最高。
レストランの中でも、スズメ達はお相伴を許されている。
クスクスまみれになって、幸せなスズメ達。
一緒に食べるのはちょっと・・・というお客さんは、自分でスズメを追っ払えばいい。
デザートのアイスクリームを、Danaさんとシェア。
シメは名物ミントティー。
おじさんが名人芸でサーヴしてくれる。
こうして入れると、ちょうど飲みやすい適温になるのだった。
ここで食べているときの、大きな疑問。「一体ここはモロッコ料理なのか、トルコ料理なのか!?」
このミントティーの入れ方や、お菓子やハマムはトルコ式。で、タジンは明らかにモロッコ料理。
ロンドンにいると、トルコ料理かモロッコ料理のどちらかなので、そのどっちか?の発想になる。
あのあたり、我々は知りもしない「いがみあい」がありかねないので、おっかなくって「どっちなの?」と尋ねる勇気がなかった(笑)。
後で調べてみたら、フランスにもっとも馴染み深いのはアルジェリア・チュニジアで、だからここはアルジェリア・チュニジア料理、一言でいえば北アフリカ料理ということになる、と判った。
トルコとも、離れてはいるが、ムスリム文化で繋がっていて、ハマムやミント・ティーなど共通のものもあるということのよう。
ムスリム以前の世界観で生きている私の目には、どこもビザンティン文明なんだけどな・・・(笑)。
La Mosquee(ラ・モスケ )
39 rue Geoffroy Saint-Hilaire 75005 Paris
地図:
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