Curtius Museum, Liege(クルティウス博物館、リエージュ)
近頃全く時間が足りなくて、写真の整理もポストプロセスも溜まりっぱなし、そして、標本箱更新も甚だ疎らなことに。
少しずつでも、以前の習慣を取り戻したいと、ささやかな努力中です。
今回は、ちょうど2年前(そして昨年も)ペーターおじさんのアートフェアの撮影とアテンドで滞在していた、ナミュールから訪れた、西に50km出たところにある街、リエージュのイメージを。
その昔、滞在ダイジェストとして載せたことがあるけれども(<このページ>)、博物館自体をフィーチャーしたエントリーはまだだったので、ちょうどこの時期、くっらーい雨がちのお天気には、やはり同じくっらーい雨がちのお天気の日の写真を・・・ということで、いろいろ載せてみることに。
(一気に詰め込んだので、ちょっと長々しい標本箱に。)
このCurtius Museum(クルティウス博物館)の建物は、16世紀の富裕商人Jean Curtiusが、一族のために建てたパレス。
スペイン領下で、火薬を、スペイン軍に独占納入していたという、いわば「死の商人」なんだけれども、莫大な富を築いて、この壮大な建物をMeuse(ムーズ)川に面して建造した。
2009年に改装新オープンしたミュージアムは、
リェージュの歴史博物館として、
美術工芸品を収蔵展示している。
コートヤードを隔てた、新築のエントランス。
リエージュ司教領の首都がこの街だったので、
キリスト教文化の中心地だったこともあり、
この博物館の最大の収蔵品は、宗教美術関連のもの。
(街としても、ナミュールより大きい、
ベルギー第5の都市なのだそう。)
考古学博物館も兼ねているので、
ローマ時代の出土品・・・などというところから、
展示は始まるけれど、もう少し面白くなってきたところからの抜粋で。
チャーミングな聖母子
15世紀ぐらいのものだろうか。
詳細は記録してこなかったので、
私の適当、類推のキャプションで、
イメージをどんどん行きますよ。
これは上よりもう少し古い感じの聖母子。
これもとても愛らしい。
象牙彫の中世末期の聖母子。
司教のコスチュームの聖人さん達は、
リェージュの聖人さん、聖ランベルトゥスか、聖フーベルトゥスかと。
こんな感じで、展示室が延々続く。
この段階で、最初思っていたのより、
ずっと収蔵量の多い博物館なんだということが、
だんだん詳らかになる。
13世紀頃かな?の写本装飾カヴァー。
中央はアイボリーのレリーフで、周囲はエナメル製。
中世のエナメル装飾物は、たいていフランスのLimoges(リモージュ)製なので、
多分これもそうかと。
家具や絵画も収蔵されている。
このあたりはもっと時代が下って、17世紀頃。
これはアイボリーではなくて、17世紀のアラバスター彫り。
何度か滞在したことのある、ベルギーのMechelen(メヘレン)製。
アラバスター彫りの産地だったそうで、
大聖堂の装飾レリーフ彫りも見事なものだった。
(標本箱は<このページに>。)
順路順に行くと、時代は一気に18-19世紀に下って、
(部屋も19世紀初頭の、インペリアル・スタイルなので)
地域で生産されていたセラミックのコレクション。
何焼きというのかは、記録してこなかったら、
調べがつかなくなってしまった・・・。
同時代の時計のコレクションと一緒に展示されている。
この街出身のヴァイオリニスト/作曲家、
Eugène-Auguste Ysaÿe(ウジェーヌ=オーギュスト・イザイ)の書斎。
20世紀初頭のインテリアを再現している。
で、また、18世紀以降の宗教美術に展示のテーマは戻って・・・、
そして再び、聖遺物のお宝が続々。
モンストランスと呼ばれるフォルムの聖遺物容器。
ディティールは、ジュエリーに匹敵する豪華さ。
うん、ボトルアートに繋がるものがある・・・。
こういう聖遺物のフォルム、イメージが好きで、
自分でも作り始めてしまった次第。
<アートオブジェのEtsyショップ>
ゴシック教会のようなフォルムの聖遺物容器。
その先の展示室では、こんな大仰なことに。
様式的にはバロックだけれど、
天使の表情から、19世紀に制作されたものじゃなかと思う。
その先、上階の展示室に上がると、
また時代をさかのぼって、
宗教関連の美術工芸品の展示がぎっしり。
17世紀頃(?)の聖遺物容器。
聖遺物を収めた、アルター・クロス。
聖なんとか・・・って書いてあるけれど、調べがつかない。
St. Teratii と書かれているように見えるけれど、
そんな名前/聖人さんは聞いたことがない。
(Googleさんも知らなかった)
コスチュームから、司教さんであったことは確か。
ゴルゴダ磔刑を、シンボリズムで表現した、3Dオブジェ。
(と、呼んでしまっていいのかな、特別な呼称があるかもしれないけど。)
このクラウンは、マリア母さまの像を飾るものだったのかな。
ワックス・ドールの聖母子像。
切り紙の聖家族。
この辺は、フォーク・アートのジャンルに入ってきている。
多分、どこかの修道女さん達が手仕事で制作して、
教会の基金のために販売していたもの。
同じく切り絵手工芸の、
聖オーガスタスと聖クリストフル。
聖王ルイのセラミック像。
18世紀的多彩色の聖母子。
そのあと、グラウンド・フロアに降りて、
これで見終わったかと思ったら・・・、
その先にまだ「ガラス館」があるということで、
ガラスもの好きとしては、これを見逃すわけにはいかない。
「ガラス館」への廊下にある中庭に面した、ステンドグラス。
「ガラス館」展示室。
16-17世紀(かな?)の水差し。
この感じはボヘミアン・ガラスっぽい。
こういうペンチで挟んだ、ヒレのような装飾が付くのは、
ヴェネチアン・ガラスの手法。
これもヴェネチアン。
マーブル状の金箔が綺麗ー。
エングレーヴィング・ガラス。
婚礼記念に花嫁に贈られたものかと。
ヘタウマ・チャーミングな、着彩の天使。
ギリシャ神話のヘラクレス(右)?
なんだと思うけれど、ヘタウマすぎで判別つかず(笑)。
これも素朴だけれど、チャーミング。
豪華な着彩。これはもう19世紀ぐらいなんだろうか。
収蔵品の最後は、びっくり顔のマリア母さま。
これが、ミュージアムの入り口です。
Curtius Museum(クルティウス博物館)
開館情報等は英文で<このページ>に。
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