Friday 7 December 2018

Ca' d'Oro, Venice(カ・ドーロ、ヴェニス)-2-

ヴェニス、Ca' d'Oroカ・ドーロ)、 正式には「Galleria Giorgio Franchetti(ジョルジョ・フランケッティ美術館)」からの続編を。

Crocifissione con santi e donatori, Hans Memling 1435(40)-1494
イタリアン・ルネッサンス絵画以外に、
北方ルネッサンス絵画の収蔵も多い。
15世のHans Memling(ハンス・メムリンク)の、"Crocifissione con santi e donatori"
「聖人と寄進者がとりまく、キリストの磔刑」
(全然余談だけど・・・どうして日本語カナ表記で「メムリンク」になるのかが謎。
仏語だと微かに最後に「グ」が入ってるように聞こえるし、
蘭語だとgは飛んでしまって「メムリン」にしか聞こえない。
英語圏でも最後はかすかなg音が残っているような感じ。
自分的には「メムリング」と書きたいところだけど、
慣例に準じておく。)

Crocifissione, Jan van Eyck, Maastricht 1390 - Bruges 1441
15聖前半の、Jan van Eyck(ヤン・ファン・エイク)の「磔刑図」。
(あーこれも、英語読みの「ヴァン・ナイク」で慣れてるので、違和感・・・笑。)
街の描き込みがハンパない。
メムリンクより1世代上にあたるので、もう少し中世的な硬い表現。

Part of Crocifissione, Jan van Eyck, Maastricht 1390 - Bruges 1441
で、そのハンパない描き込みが好きだったりする(笑)。

Madonna col Bambino in trono tra le sante Caterina d'Alessandria e Barbara, copy of  Memling
"Madonna col Bambino in trono tra le sante Caterina d'Alessandria e Barbara"
(聖カテリナと聖バルバラの間の聖母子)。
これはメムリンクのコピーだそう。
たしかによく似た構図のメムリンクの聖母子が、
ブルージュのSint-Janshospitaal(聖ヤン・ホスピタル)に収蔵されているのを、
これは、7月に見てきたので覚えている。<こんなもの
メムリンクのほうがもう少し高貴な感じ・・・かな。

ちょうど北方ルネッサンス絵画の部屋を見終わった頃に、
アテンダントの係員が、
「上階がオープンしました。」と告知して回ってくる。
そう、この(日本式でいうと)2階にあたる展示室(8:15amオープン)の上に、
もう一つ展示室があって、そこは10:00amオープンという、
ちょっと変則的な開館時間なのだった。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
こんな風に、2階展示室の途中に古風な階段があるけれど、
ここから上がれるわけではなくて、
エントランス近くの大きな階段から、
3階に当たる部分に登っていく。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
上階では16世紀以降の絵画作品とタペストリー、家具が展示されている。
ここはほぼ南に面した明るい建物なので、
日光による、タペストリーの退化を、最小限に抑えるために
開館時間を短縮してるのかな・・・というのは、私の想像。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
詳細はわからないけれど、この頃(16世紀)のタペストリーは、
ブラッセルズを中心とした、
フランダース地域でつくられたものじゃないかな?

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro


Ritratto del Procuratore Nicolo Priuli, Jacopo Tintoretto, Venezia 1518-1594, Venezia 1518-1594
"Ritratto del Procuratore Nicolo Priuli", Jacopo Tintoretto
16世紀のティントレットの描いた、
「検察官ニコラ・プルーリの肖像」。
何人ものDoge(提督)を輩出した、ヴェネチア貴族Priuli(プルーリ)家の一員。

Venere allo specchio, Tiziano Vecellio, 1490-1576
"Venere allo specchio, Tiziano Vecellio"
16世紀ティツィアーノの、「鏡のヴィーナス」。

Venduta di una villa presso un fiume, Lodewijk Toeput detto Lodovico Pozzoserrato, Antwerp 1500- Trevisco 1605
Venduta di una villa presso un fiume, Lodewijk Toeput detto Lodovico Pozzoserrato
「川の畔のヴィラの眺め」 イタリアでは
Lodovico Pozzoserrato(ルドヴィコ・ポゾセラート)と呼ばれた、
16世紀のフランドル、アントワープの画家、
Lodewijk Toeput(ローデヴィック・トゥプット)の作品。
ティントレットのスタジオで修行した後、
本土側の街、Treviso(トレヴィソ)で生涯活動した。
ヴェネチアの絵画組合員権を
取得できなかったためではないかと考えられている。


Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
続く展示室はこんな感じ。

Vedura della piazzetta verso S.Giorgio, Francesco Guardi, Venezia 1712-1793
Vedura della piazzetta verso S.Giorgio, Francesco Guardi
「サン・ジョージオを望む、小さな広場の眺め」
18世紀のFrancesco Guardi(フランセスコ・グアルディ)作。
サンマルコ広場から、ドゥカーレ宮を左手に、
グランカナルに向かう部分の広場・・・って、
この絵もまた、現在とほとんど変わりないのが、
ヴェニスのすごいところ。

カナレットからは、一世代ぐらい後の画家。
カナレットっぽいパースペクティヴだけど、
もっとルースで自由なタッチで、
カナレットほどの完璧な製図的な描き方ではない。
そこが後の印象派以降、グアルディの方が、
カナレットより高く評価される要因となっている。

いや、私はどっちも好きだけど(笑)。

Venduta del Molo verso la basilica della Salute, Francesco Guardi, Venezia 1712-1793
"Venduta del Molo verso la basilica della Salute", Francesco Guardi
「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂を望む、船着き場の眺め」
これもフランセスコ・グアルディ作。
これは上の絵のシーンから、
グランカナルに突き当たるまで歩いて、
右手にあたる、対岸の聖堂を眺めたところ、
って、すぐにロケーションが確定できてしまう。

さて、絵画作品はこのぐらいで、
もう一度下の階へ、今度はグランドフロア(一階)に降りていく。
この公開されている、グランドフロアは、
展示物ではなくて、屋敷の中庭とモザイク床が見どころ。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
ところどころ水浸しになっているのは、
満潮時の高潮のため。
水に浸かっている時は、このフロアは公開されていない。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
その昔は、グランカナルに面して、
ここが正面入口として機能していたはず。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
あぁ、モザイクタイル、美し・・・。
頻繁に水浸しになるので、
保存状態も危ぶまれていることと思う。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
カナルを覗く。
本来はここがこの屋敷の正面船着き場。
今ではもう水の下になってしまっている。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro


Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
中庭を通って、階段で屋敷に上がる構造。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
19世紀にここを一時期所有していた、バレリーナ、
Marie Taglioni(マリー・タリオーニ)が、
この階段と、2階の窓の外のバルコニーを撤去してしまった。
階段の方は、最後のオーナー、ジョルジョ・フランケッティが、
復旧させたが、バルコニーは失われたままで、
現在では、歴史的建造物に対する破壊行為とみなされている。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
残念なことに・・・。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
中庭の門の上の装飾。

Galleria Giorgio Franchetti alla Ca' d'Oro
最後に、中庭の壁の上の装飾。




Ca' d'Oro(カ・ドーロ)

開館時間は英文で<このページ>に。

地図:








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