Musée L - Musée universitaire de Louvain(ルヴァン大学博物館) -1-
ほぼほぼ、ホリデーシーズンも終わり、日常生活を取り戻しつつあるロンドンです。
今年は今のところ暖冬で、霜が降りたのも2日ぐらい。暖かくていいといえばいいのだけれど、久しぶりに庭の見回りに行ったら、植え込んだハーブたちが、ナメクジにがっつり食べられていてびっくり・・・。
さっそくビヤホールを開いて(食べられている植物の近くに、浅く切った使い捨てコップをいくつも埋めて、ビールを入れておくと、ビール好きのナメクジ達は、匂いにひかれてきて、溺れ死ぬ・・・という仕組み)20匹以上昇天させたり、専用ウールペレットで植物の周りをとりかこんでバリアにしたり(ナメクジはウールの質感が嫌で、上を歩けない)、正月早々忙しい。
夏の植え込みの前に、Nemaslug(ナメクジ類のみををターゲットにするウィルス剤で、約3ヶ月有効)で土壌処理したのが効いていて、ナメクジフリーだったのに、冬だから次回の処理は4月頃から・・・と思っていたら、とんでもなかった。
急いでまた、このウィルス剤をオーダーしようとしたけど、ディーラーの方でも、需要は通常4月からなので、在庫切れのところが多い。
なんとか1件見つけて取り寄せ中。 冬もまた・・・庭の奴隷は続く・・・。
閑話休題。
今回もまたベルギーから、前々回までのLeuven(ルーベン)と関連がないわけでもない、Louvain(ルヴァン)大学の博物館のイメージを。(以前、2018年11月の滞在直後に、ダイジェスト版で載せたことがある<このページ>。今回はこの博物館だけを特集して。)
関連がないどころか・・・、似たような名前だなと思っていたら、Louvain(ルヴァン)は、単にオランダ/フラマン語のLeuven(ルーベン)をフランス語読みしただけ。
でも、今回訪れたのは正確にはLouvain-La-Neuve(ルヴァン・ラ・ヌーヴ=ルーベン・ニュータウン・・・的な意味)という町。
これは、中世由来のルーヴェン大学で、1960年代末にオランダ語とフランス語の言語抗争が起きた結果、ルーヴェン大学自体はオランダ語圏なので、オランダ語使用に統一されてしまった。
そこで、フランス語の役員・教授がルーヴェン大学から脱退分裂して、20km南の農地を5平方キロ購入して、新しい大学Université catholique de Louvain(ルヴァン・カトリック大学)を設立した。
なにもない農地に、20世紀都市計画バリバリのニュータウンを作り上げてしまったのだ。
実は古都ルーベンに行く前に、このルヴァン・ニュータウンの方の博物館を見に行っていて、古都ルーベンの方に私が行ってきたと思いこんでいるペーターおじさんに、「ルーベンの街は、古くてきれいだろう?」と尋ねられて、「え?60年代のコンクリート建築ばっかりだったよ?」と答えて全く話が噛み合わなかった。
ググってみて、はじめてその事情を知った次第。おじさんもこのルヴァン・ニュータウンの方は知らなくて、驚いていた(笑)。
60年代のコンクリート建築・・・というのはこういうこと。
典型的な60年代スタイル。
だけれども、なんだか一周回ってトレンド最先端、の、感はある。
ここは大学附属の教育・研究機関としても博物館で、
あまり外部から入場者が訪れる・・・という感じではない。
(もちろん、大学関係者でなくても見学できるんだけれど。)
この時来館していた人で、外部者は私だけだったかも。
で、なんでまた、そんなマイナーな博物館を
わざわざ自由時間初日に訪れたかというと、
現在興味津々の宗教フォーク・アートのコレクションが、
かなりたくさん所蔵・展示されているという話だったので。
それは・・・、
こういうもの。
ここがカトリック教会の大学ということもあるのだろけど、
こういったカトリックテーマの装飾アートがいろいろ。
以前ブラッセルズのCinquantenaire Museum (サンカントネール博物館)
で、ハート博物館という一室があって、
そこで色々見て興味をかきたてられた次第(標本箱は<このページ>)。
こういったフォークアートは、それこそ、
前々回のベギンホフに住んでいるようなご婦人方が、
手工芸として制作して、教会を通じて販売されたものだそう。
自分でできるものかどうかはわからないけれど、
この紙テープを巻いて作る「クイリング」という
テクニークに惹かれている。
うーん、紙ででもここまでできる・・・。
18~19世紀にかけてよく使われたテクニーク。
もともとは金銀工芸のテクニークの、
Filigree(フィリグリー)が原点なんじゃないかな。
それが、大量生産されるようになった紙に、
箔を添付して、簡便・安価に作られていったのかと。
ゴールドに見えるポリマークレイで、
歴史的スタイルのジュエリーを作る・・・
件案にも、近いものがあるけれど(笑)。
痛々しいのは、聖セバスチャン。
クィリングの技法は現在でも使われているけれど、
もっとファンシーなものになっている<こんなの>。
今では、ゴールドやシルヴァーのクィリング・テープも、
箔貼りではなくて、メタリック・インク・プリントなので、
断面が白いし、メタリックの質感がぜんぜん違う。
それで、どうしたものかと色々と画策しているのですよ・・・。
もともとは、聖遺物を飾るのに、
この紙クィリングの手法がよく使われていた。
これなんかも・・・誰かの(なにかの)骨。
とかいって実は、動物の骨つかまされていたり・・・、
ということも、往々にしてあるらしい。
怪しげな・・・聖人さんの骨・・・的なものより、
こういったプラークや、聖画の方が随分気持ちいいけど。
これはシルクに刺繍とペイントされたものが、「ご本尊」。
ディティール
こういうのは、何人もの女性が分業・合作で、
作り上げたのじゃないかな。
ミニチュア聖画の、描き手が違うので。
あるいは、別々に集められた刺繍や聖画を、
一つの箱に収めるべくアレンジ・制作した人がいるのかと。
ここからは、クィリング手法じゃないけれど、
手に入る限りの「キレイなもの」を詰め込んで飾りたい
という、素朴な美意識がとてもチャーミング。
自分のオブジェ作品もかなり近いものがある(笑)。
このあたりは、ベギンホフの専門の工芸家が制作して
販売された・・・というより、個人が趣味で(信仰で)、
制作したものなのだろう。
これはクシャクシャにしたワックスペーパー(?)
を海に見立てているのかな?
中央の手着彩された聖家族は、石膏なんだろうけど、
まるでマジパンでできているかのような・・・(笑)。
これは使われているスクラップ・ペーパーの、
天使の表現から19世紀後半のものだとわかる。
これもそう。
中央のブッダのような(笑)幼子ジーザス君は、
ワックス・ドールかと。
これも幼子ジーザス君、
祭壇をおむつ替え台にしているかのような・・・。
この聖母子が両肩からたすき掛けにしている、
リボンの付いた四角いプリント布。
名前は知らないのだけれど「お守り」として、
教会から買ったのか、何かの記念に贈られたのかしたもの。
時々、アンティーク・マーケットで見かけたりする。
またアンティークの小箱とか買ったら、
中にこういうものが収められていたり・・・ということもある。
お気の毒な、ジーザス先生。
これもまた。
聖ヴェロニカの聖顔布のイメージを中心に、
磔刑を象徴するモチーフが、シルエットで貼り込まれている。
今回は、というところまでで、まだ次回に続きますよ。
Musée L - Musée universitaire de Louvain
(ルヴァン大学博物館)
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