Sunday 5 January 2020

Musée L - Musée universitaire de Louvain(ルヴァン大学博物館) -1-

ほぼほぼ、ホリデーシーズンも終わり、日常生活を取り戻しつつあるロンドンです。

今年は今のところ暖冬で、霜が降りたのも2日ぐらい。暖かくていいといえばいいのだけれど、久しぶりに庭の見回りに行ったら、植え込んだハーブたちが、ナメクジにがっつり食べられていてびっくり・・・。
さっそくビヤホールを開いて(食べられている植物の近くに、浅く切った使い捨てコップをいくつも埋めて、ビールを入れておくと、ビール好きのナメクジ達は、匂いにひかれてきて、溺れ死ぬ・・・という仕組み)20匹以上昇天させたり、専用ウールペレットで植物の周りをとりかこんでバリアにしたり(ナメクジはウールの質感が嫌で、上を歩けない)、正月早々忙しい。
夏の植え込みの前に、Nemaslug(ナメクジ類のみををターゲットにするウィルス剤で、約3ヶ月有効)で土壌処理したのが効いていて、ナメクジフリーだったのに、冬だから次回の処理は4月頃から・・・と思っていたら、とんでもなかった。
急いでまた、このウィルス剤をオーダーしようとしたけど、ディーラーの方でも、需要は通常4月からなので、在庫切れのところが多い。
なんとか1件見つけて取り寄せ中。 冬もまた・・・庭の奴隷は続く・・・。

閑話休題。

今回もまたベルギーから、前々回までのLeuven(ルーベン)と関連がないわけでもない、Louvain(ルヴァン)大学の博物館のイメージを。(以前、2018年11月の滞在直後に、ダイジェスト版で載せたことがある<このページ>。今回はこの博物館だけを特集して。)
関連がないどころか・・・、似たような名前だなと思っていたら、Louvain(ルヴァン)は、単にオランダ/フラマン語のLeuven(ルーベン)をフランス語読みしただけ。
でも、今回訪れたのは正確にはLouvain-La-Neuve(ルヴァン・ラ・ヌーヴ=ルーベン・ニュータウン・・・的な意味)という町。
これは、中世由来のルーヴェン大学で、1960年代末にオランダ語とフランス語の言語抗争が起きた結果、ルーヴェン大学自体はオランダ語圏なので、オランダ語使用に統一されてしまった。
そこで、フランス語の役員・教授がルーヴェン大学から脱退分裂して、20km南の農地を5平方キロ購入して、新しい大学Université catholique de Louvain(ルヴァン・カトリック大学)を設立した。
なにもない農地に、20世紀都市計画バリバリのニュータウンを作り上げてしまったのだ。

実は古都ルーベンに行く前に、このルヴァン・ニュータウンの方の博物館を見に行っていて、古都ルーベンの方に私が行ってきたと思いこんでいるペーターおじさんに、「ルーベンの街は、古くてきれいだろう?」と尋ねられて、「え?60年代のコンクリート建築ばっかりだったよ?」と答えて全く話が噛み合わなかった。
ググってみて、はじめてその事情を知った次第。おじさんもこのルヴァン・ニュータウンの方は知らなくて、驚いていた(笑)。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
60年代のコンクリート建築・・・というのはこういうこと。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
典型的な60年代スタイル。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
だけれども、なんだか一周回ってトレンド最先端、の、感はある。

ここは大学附属の教育・研究機関としても博物館で、
あまり外部から入場者が訪れる・・・という感じではない。
(もちろん、大学関係者でなくても見学できるんだけれど。)
この時来館していた人で、外部者は私だけだったかも。

で、なんでまた、そんなマイナーな博物館を
わざわざ自由時間初日に訪れたかというと、
現在興味津々の宗教フォーク・アートのコレクションが、
かなりたくさん所蔵・展示されているという話だったので。
それは・・・、

Musée L - Musée universitaire de Louvain
こういうもの。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
ここがカトリック教会の大学ということもあるのだろけど、
こういったカトリックテーマの装飾アートがいろいろ。
以前ブラッセルズのCinquantenaire Museum (サンカントネール博物館)
で、ハート博物館という一室があって、
そこで色々見て興味をかきたてられた次第(標本箱は<このページ>)。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
こういったフォークアートは、それこそ、
前々回のベギンホフに住んでいるようなご婦人方が、
手工芸として制作して、教会を通じて販売されたものだそう。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
自分でできるものかどうかはわからないけれど、
この紙テープを巻いて作る「クイリング」という
テクニークに惹かれている。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
うーん、紙ででもここまでできる・・・。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
18~19世紀にかけてよく使われたテクニーク。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
もともとは金銀工芸のテクニークの、
Filigree(フィリグリー)が原点なんじゃないかな。
それが、大量生産されるようになった紙に、
箔を添付して、簡便・安価に作られていったのかと。
ゴールドに見えるポリマークレイで、
歴史的スタイルのジュエリーを作る・・・
件案にも、近いものがあるけれど(笑)。

Musée L - Musée universitaire de Louvain


Musée L - Musée universitaire de Louvain
痛々しいのは、聖セバスチャン

Musée L - Musée universitaire de Louvain
クィリングの技法は現在でも使われているけれど、
もっとファンシーなものになっている<こんなの>。
今では、ゴールドやシルヴァーのクィリング・テープも、
箔貼りではなくて、メタリック・インク・プリントなので、
断面が白いし、メタリックの質感がぜんぜん違う。
それで、どうしたものかと色々と画策しているのですよ・・・。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
もともとは、聖遺物を飾るのに、
この紙クィリングの手法がよく使われていた。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
これなんかも・・・誰かの(なにかの)骨。
とかいって実は、動物の骨つかまされていたり・・・、
ということも、往々にしてあるらしい。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
怪しげな・・・聖人さんの骨・・・的なものより、
こういったプラークや、聖画の方が随分気持ちいいけど。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
これはシルクに刺繍とペイントされたものが、「ご本尊」。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
ディティール

Musée L - Musée universitaire de Louvain
こういうのは、何人もの女性が分業・合作で、
作り上げたのじゃないかな。
ミニチュア聖画の、描き手が違うので。
あるいは、別々に集められた刺繍や聖画を、
一つの箱に収めるべくアレンジ・制作した人がいるのかと。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
ここからは、クィリング手法じゃないけれど、
手に入る限りの「キレイなもの」を詰め込んで飾りたい
という、素朴な美意識がとてもチャーミング。
自分のオブジェ作品もかなり近いものがある(笑)。
このあたりは、ベギンホフの専門の工芸家が制作して
販売された・・・というより、個人が趣味で(信仰で)、
制作したものなのだろう。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
これはクシャクシャにしたワックスペーパー(?)
を海に見立てているのかな?

Musée L - Musée universitaire de Louvain
中央の手着彩された聖家族は、石膏なんだろうけど、
まるでマジパンでできているかのような・・・(笑)。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
これは使われているスクラップ・ペーパーの、
天使の表現から19世紀後半のものだとわかる。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
これもそう。
中央のブッダのような(笑)幼子ジーザス君は、
ワックス・ドールかと。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
これも幼子ジーザス君、
祭壇をおむつ替え台にしているかのような・・・。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
この聖母子が両肩からたすき掛けにしている、
リボンの付いた四角いプリント布。
名前は知らないのだけれど「お守り」として、
教会から買ったのか、何かの記念に贈られたのかしたもの。
時々、アンティーク・マーケットで見かけたりする。
またアンティークの小箱とか買ったら、
中にこういうものが収められていたり・・・ということもある。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
お気の毒な、ジーザス先生。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
これもまた。

Musée L - Musée universitaire de Louvain
聖ヴェロニカの聖顔布のイメージを中心に、
磔刑を象徴するモチーフが、シルエットで貼り込まれている。

今回は、というところまでで、まだ次回に続きますよ。





Musée L - Musée universitaire de Louvain
(ルヴァン大学博物館)


Map:










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