MULUM - Musée Liégeois du Luminaire - (リエージュ照明博物館)
今回もまた、ベルギーの街、Liege(リエージュ)から、Musée Liégeois du Luminaire (リエージュ照明博物館)のイメージを。
このミュージアムは、アンティーク・ライティングのコレクター、Philippe Deitz(フィリップ・デッツ)氏の、15歳のとき以来のコレクションである、様々なタイプの照明器具600点以上を展示したミュージアムで、フィリップ氏自ら、いろいろな解説をして案内してもらえる。 とはいうものの、英語はあんまりお得意じゃなくて、話はそんなに長いわけではなかったけれど、フランス語だったら・・・かなり話が長そう(笑)。
それでも、オイルランプの構造とか、ここで初めて知ったことも多くて、なかなかタメになる博物館だった。
エントランスを入ってすぐのエリアには、
オイルランプの色々なタイプのものが展示されている。
まずここで、オイルランプの解説を受ける。
まずは、古代のローマ時代のランプ。
で、これは初期16世紀のヒマラヤ地方のランプだけれど、
古代のランプは、だいたい似たようなものと考えられる。
植物性/動物性のオイルに、苔やファイバーを入れて、
滲み込ませて、そこに火を付ける。
このような「古代」型のランプが、
最初の2枚のような、「近代的」な形のランプになっていく。
ここで見られるのは、その過渡期的な構造で、
主に中近東やインド、アジアで使われていたもの。
共通しているのは、オイルを溜める部分と、火を灯す部分の高さがほとんど同じであるということ。
これは、植物性/動物性のオイルの浸透圧が強くないため、そうならざるを得なかったから。
18世紀ヨーロッパで、明度が高くて実用的な(そして、往々にして装飾的な)ランプが開発されるが、その時のポイントは、芯を大きくして火力(明度)を増す、ガラスのケース(ホヤ)を付けて火を安定させるとともに、どうやってオイルを、その芯に送り出すか、ということがまず最初の課題となる。
18世紀後半に、Argand lamp(アーガンド・ランプ)が発明される。
(フランスでは、この型を普及させた人の名前をとって、
Quinquet=クィンケと呼ばれているそう。)
また、その芯はチューブ状に織られた布で、6-10カンデラの明度があるので、蝋燭の火(約1カンデラ)の6-10倍明るいランプということになる。
このアーガンド型にも問題があって、高い部分にオイル壺があるので、重心が不安定なこと(なので、オイル壺の容量が小さい)と、オイル壺が大きな影を落とすため、全方向使用には向かないということ。
そこで、なんとか・・・、オイル壺を芯+ホヤの下に持ってくるデザイン/構造が考案される。
それがCarcel lamp(カーセル/英、カルセル/仏)ランプ。
アーガンド型より、容量の大きなオイル壺を下部に組み込んでいるため、最高16時間オイルを継ぎ足さずに、ランプをともし続けることができるというもの。
これにもまた欠点はあって、複雑な構造のため、高価なもので一部の富裕層しか購入できなかった、また、故障しやすく、(主にヨーロッパの)製造メーカーに修理に出す必要が生じるということ。これでは、アメリカでは普及できないよね。
次に1837年に発明されたのが、Moderator lamp(モデレーター・ランプ)。
丸い円盤の芯の調節ネジの反対側に、内部のピストンを調整する、装飾的なネジがついていることで、このタイプのランプが見分けられる。この写真では、棚の上の右左端と中央のもので、それ以外はオイル壺に時計巻穴のある、カーセル・ランプ。
前述のカーセル・ランプよりは、シンプルな構造なので、故障も少なくて、コスト・パフォーマンスもいいので、当時の灯台にもこのメカニズムが使われた。
このモデレーター・ランプにも欠点はあって、一晩のうちに何度もネジを巻いてオイルを押し上げる必要がある。そうしないと、ランプ芯が焦げていってしまうそう。
この一角に展示されているのもモデレーター・ランプ。
これらのランプの様々な、発明・工夫は、ひとえに当時主に使われていたランプ・オイルが、 rapeseed/colza oil(菜種油)だったためで、他の動物/植物油と同様に、粘度が高く、芯の火口まで浸透していかないからだった。
ところが、19世紀の中頃に、このオイル自体が、石油から新開発されたkerosene/paraffin(ケロシン/パラフィン=灯油)に取って代わられる。この鉱物油は、粘度が低く浸透圧が高いため、今までのような特別な構造無しで、高い部分にある芯の火口までオイルが浸透していく。
色々なタイプ。
一番下の段では、明度を上げるため開発された、
様々なオイル芯が展示されている。
このキャビネットでは、ガス灯が解説されている。
と、まぁ・・・オタッキーな内容なんだけれど、
この博物館の収蔵展示の様子も、かなりオタッキー。
こんな感じで、収蔵品に埋め尽くされた空間。
交通機関用のランタン。
街灯。
教会関連・・・の中には、燭台も含まれている。
そして、キャンドルも。
オイル/ガス・ランプの解説キャビネットが延々続く。
その後に、電気ライトの解説がまた続く・・・、
のだけれど、このあたりでもう、
解説を類推していく(英語じゃないのでね・・・)集中力が途絶える。
最後の資料閲覧スペース・・・のような一角を覗いてみた。
オイルのシャンデリア。
最後に外観を。
右に連なる建物の、一番奥がミュージアム。
ベルギーのTVで取り上げられていたミュージアム。
フィリップ・デッツ氏のもちろん登場しております。
(リエージュは仏語圏なので、仏語の番組で、
フレミッシュ(オランダ語)のテロップが付く。)
MULUM - Musée Liégeois du Luminaire -
(リエージュ照明博物館)
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